ふる里伝承記録映画 第3作
山根六郷の四季
『ふるさとの源流』
遠島山(とうしまやま)は天神森(てんじんもり)・蓬森(よもぎもり)と共に連邦を形成します。1,262メートルの山頂からは久慈湾や北上山地を眺望することができる。長内川・安家川の分水嶺であり、近年までブナの原生林でした。
天神森はその昔八神(やつがみ)岳と呼ばれ、山根六郷の人々は神々の座する霊山として敬い、祈りや信仰の対象としたのです。
先人は永い歳月をかけ、暮らしの知恵や手技を創造し、自然や他人を慈しむ真心を育んできました。
今日豊かさの中で、ふる里の原風景は忘れ去られようとしています。遠島山のふもと山根六郷の清らかな川面(かわも)に、ふる里の源流「技と心」の影を見ました。(40分)

カクラさまへの祈り

細野念仏剣舞

石神座(カクラ)まつり
山峡の畑には、遠島山から洪水によって運ばれた花崗岩が多く、人々はこれを積み上げ石の山を築いた。
六郷ではこれをイシカクラ(石神座)と呼び、神の宿るところとして祈りの対象となった。

戸数34戸の端神郷に20を越える神社や祠が散在する。その名も土拡神・ホーソー神・白旗さんなど生活に密着したものが多くみられる。
橋場家のお稲荷さんは耳の神様で、おわんに穴をあけ吊してお参りをすると不思議と治るといいます。

六郷ではかつて麻布を織り、藍で染めた衣類を着用した。近年麻布の技が再現され、藍の樽染めの伝統が50年ぶりによみがえった。そこには伝承への望みをかすかなともしびとして守り続けた里人がいた。

旧暦の3月16日に八神岳から迎えた農神様を感謝を込めて天にお送りする行事「神座まつり」が行われた。旧暦の9月16日、村人は大きな石かくらを築き16個のカクラ(天然の石)に松明がたかれた。
小雪の中、里人の祈りと共に神々は天に舞い戻った。

自然と語らい「技と心」を伝承する祈りの里
山根六郷にふる里の源流をみた。

制作期間 平成2年〜3年 完成3年3月

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